当神社の夏越大祓では,茅の輪(ちのわ)・人形代(ひとかたしろ)・剣祓(けんばらい)を用いて罪穢を祓います。このような,祓の用具を祓具(はらえぐ)といいます。
祓具にはそれぞれ由来があり,ふるくから用いられてきました。
剣祓-邪を斬り祓う
剣祓は,刃の輝きを模して形どった和紙と串でできています。幣束の一種です。
大祓では,自分の体前で「祓え給え清め給え」と唱えながら左・右・左と3度振ることで,罪穢を斬り祓います。剣の威力を宿した祓具で,剣と同様に魔邪や障害を排除し,平穏と安寧をもたらそうという願意があります。
他の祓具が罪穢を吸い取って祓っているのに対し,剣祓は罪穢を斬って抹消させて祓います。より強力かつ積極的・能動的な祓いです。他神社の大祓ではあまり例を見ない,当神社に独特な作法です。
剣祓は,「晦日払い(みそかばらい/みそかっぱらい)」とも呼ばれます。年末に,新年を迎えるにあたって家族や敷地を祓ったり,新しい御神札をお祀りするにあたって神棚を祓ったり,集落へ魔障が進入するのを防ぐために辻に差立てたりする祓具としても用いられます。